・皆川博子「死の泉」
面白かった。できれば再読したいかな。第二次大戦下のナチスの乳児院が舞台。生命の誕生、不老不死、人体実験・・・etc。狂気と退廃の中にも美しさがにじむ物語。いろいろ考えさせられる1冊。
・藤本ひとみ「聖アントニウスの殺人」
18世紀末フランスの古都アラスの貧民街でで起こる連続幼女惨殺事件。刑事と少年囚人がコンビを組んで事件を解決するもの。犯人はわりとすぐ分かるけど、これは犯人当てが目玉じゃないから大丈夫。それよりも女性の自立も権利も認められていなかった時代の哀しさに焦点が絞られているから。
・藤本ひとみ「ブルボンの封印」
この人の書くヨーロッパを舞台としたモノはほぼ100%面白い。
これも面白かった。すんごい長編だけどガーっと一気に読めた。17世紀中ごろのフランス、ブルボン王朝を揺るがす大スキャンダルを軸に、友情、恋愛、陰謀が複雑に絡み合った壮麗な歴史ロマン。主人公が強運過ぎるトコが気にならないでもナイけど・・・ま、物語だし(笑)
・小笠原慧「DZ」
2000年横溝正史賞受賞作品だけあってかなり面白い。沖縄近海で救助されたベトナム難民が双子の男女を産み落とすことから物語が始まる。人類の進化とは何か。進化が他より早すぎた者は、もはや人類ではないのか・・・。遺伝子用語が満載なわりには無理なく読めた。
・リリー・フランキー「美女と野球」
文句なし!!!面白い。私の大大大好きな故ナンシー関の跡をつぐのはリリーかもしれない。緊張と弛緩、一生懸命と不真面目、独特のニュートラル感覚が絶妙。かなり下半身ネタ(特に糞尿系・・)が多いけど、エロくはない。むしろ小学生が「うんこ」と連呼して喜んでる風情に近いか。
・リリー・フランキー「増量・誰も知らない名言集(イラスト入り)」
文句なし!!!面白い。イタイ、ヤバイ、グロイ、3拍子そろった(?)世界観が展開されていて、目からウロコ間違いなし。賛否両論きっぱり分かれそうな1冊。かなり下品・・・。でもある意味、視野は広がるな。
・スアド「生きながら火に焼かれて」
1970年代中東シスヨルダンの村で、婚前交渉をして妊娠した少女が家族によって火あぶりにされた。名誉の殺人というそうだ。アフリカ大陸や中東のニュースは日本にはほとんど届かない。積極的に情報収集しなかった自分をこんなに恥じたことはナイ。怒りなのか悲しみなのか、屈辱感なのか無力感なのか、とにかくいろんな感情がわーっと溢れて体が震えた。子育て経験のある女性が読んだら、まず間違いなく何かがドカーンと爆発するはず。読後はショックでちょっと凹むかも・・。
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